数多く出版されている実業書を手にしても内容を見るとがっかりさせられること、
しばしばである。しかし、この本は違っていた。それと、今までのNTTドコモの私が
抱いていた先入観かなり違っていることに気付かされてしまった。
大星公二氏が描くドコモの生い立ちを、大星氏自身が語った氏の生い立ちとが重なり
合うことでより一層リアリティに把握することができました。
そして、大星氏の先見性と人間性が、この企業の成功の秘密にあったことがわかり、
如何に氏が唱える感性の大切さ基づく、初等教育、中等教育の重要性を教育関係者
にも、十分伝達することに意義をもっている。この本はそれに貢献していると思います。
そういう意味ではこの本は、教育現場の方々にも是非読んで頂きたい。そして、
教育の原点を思索して教育現場での実践に役立て戴ければ幸いです。
大星氏のフィロソフィーには、共鳴するものがありまた、氏の考え方のひとつとして
「ノウブレス・オブリージュ」があるがこの「選ばれた者の務め」についてはかなりの
実践がなされており、それが成果として今日のドコモとして存在している。
もうひとつ上げれば、「企業は社会のために存在する」(レーゾン・デートル)この言葉が
吐ける経営者は、そういない。何故ならば実行して初めて言える言葉で具体的実績が
無ければ語ることは出来ない言葉である。これが、かりに学者の発言であっても
具現化して、初めて存在する言葉である。
氏は、若い社員を捉まえて、「ドコモのために働くな、自分のために働け」といわれた
ことが記載してありましたが、まさしくこれは氏が自ら実行された経験の中で思われた
ことでしょう。それは、私が、社員教育を引き受けて指導した時に、「会社のために
仕事をするな、自分のために仕事をしろ」といった時、経営者の中にはいやな顔を
されたことがあります。
会社のために仕事をしている感覚は「してやってる」といった感覚ですから、
仕事の取り組み姿勢がまるで他人事になってしまいます。
そして、それは会社のためにも、本人の為にもならないのです。
そうしたことを経営者の方にご説明しますとご納得戴けます。なぜなら、経営者こそ
会社の為でなく自分のために働いているからです。そして、それは会社の為になり、
ひいてはそれが社会のためになるからです。
是非、一度若き経営者の皆さんは、この本から明日の経営者としての道を歩まれる
ことを切に望んでやみません。
|
